保食(ウケモチ)「日本神話の世界」

保食ウケモチ

保食1
神格
五穀の神、養蚕の起源神
祀られている神社
岩内神社(北海道岩内郡岩内町)
猿賀神社(青森県南津軽郡尾上町)
金峰神社(秋田県仙北郡田沢湖町)
玉崎駒形神社(岩手県江刺市玉里)
竹駒神社(宮城県岩沼市稲荷町)
箭弓稲荷神社(埼玉県東松山市箭弓町)
建穂神社(静岡市建穂)
わく繰神社(愛知県宝飯郡一宮村)
犬頭神社(愛知県豊川市千両町)
亀山八幡宮(長崎県佐世保市八幡町)
保食2
神徳
農業・漁業・養蚕・狩猟守護、牛馬畜産、産業開発、出世、開運招福、厄除け、必勝祈願、家内安全、航海安全
別称
保食神(ウケモチノカミ)、大宜都比売神(おおげつひめのかみ)
系譜
イザナギ、イザナミの子
詳細
保食(ウケモチ)は食物の起源とされている神で、日本人が農業覚え、動物など様々な種類の生き物を食べるようになって安定的に食料を確保できるようになった時代を象徴する神ではないかと考えられています。
また、ウカノミタマやトヨウケなどと同一視されている場合もあり、稲荷神社に一緒に祭られている事も多いようです。

日本神話におけるウケモチのエピソードは以下のようなものです。
ある時、アマテラスが葦原中國(あしはらのなかつくに)にウケモチがいるという情報を得た事からツキヨミにウケモチを訪ねるように命じます。
ツキヨミが訪ねて来た事に喜んだウケモチは最高のもてなしをしようと自分の口から大地に向かってご飯を海に向かって魚を山に向かって獣を出してそれらを調理してツキヨミの前に並べます。
ところがこれを見たツキヨミは「汚らわしくて卑しい、口から出したものなど食べられるか」と怒り狂い、ウケモチを剣を切り殺してしまいます。

ツキヨミから報告を受け、ウケモチを手にかけた事を知ったアマテラスは激しく怒り、「汝は悪しき神だ、もう二度と会わない」と言い、今まで共に天で暮らしたアマテラスとツキヨミは別々に暮らすようになり、太陽と月が同時に姿をあらわす事はなくなったとされています。

 ウケモチの好意はツキヨミに理解されず、悲劇的な結末に終わったかのように見えますが、このエピソードには続きがあり、殺されたウケモチの体からは牛馬や栗、稲や豆、蚕などが次々と生まれ、これらを人々が食べたり、利用したりするようになった事からウケモチは食物の起源神となったのでした。
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