柿本人麿カキノモトノヒトマロ
神格
歌神、歌聖
祀られている神社
柿本神社(島根県益田市高津町鴨山)
柿本神社(兵庫県明石市人丸町)
神徳
歌の守護、風波の守護、防火、安産、疫病防除、農耕、眼疾治癒
別称
人麻呂、人丸
系譜
大豪族春日氏の傍流の柿本氏
詳細
柿本人麿(カキノモトノヒトマロ)は和歌の神様、防火の神様、安産の神様などとして現在でも信仰されている神で、カキノモトノヒトマロが生前、優れた歌人であった事は広く知られていますが、なぜ、防火の神様や安産の神様として祀られるようになったのかついては単に語呂合わせによるものだとされ、名前の「ヒトマル」の部分が「火止まる」「人生まる」などと読み替えられる事によってそれが神徳へと発展していったと考えられています。
このような理由から神徳が生まれたという事実はにわかには信じ難い事かもしれませんが、それほどまでに歌人・柿本人麿が人々から愛され、少しでもあやかりたいと願われていたという証であるかもしれません。
歴史上の人物が神様として祀られるようになった例としては菅原道真が特に有名ですが、柿本人麿も道真と同じように優れた人物でありながら都から地方へと転属され、戻る事ができないまま生涯を終えたという共通点があり、このような悲劇性がのちの人々の心を強くとらえ、それが信仰へとつながったと言われています。
柿本人麿のものとされる歌は「万葉集」の中に長歌が16首、短歌が61首残されてされていますが、人麿が天皇に仕えて宮廷歌人として活躍したのはわずか11年だとされており、身分もあまり高いものではなかったと伝えられています。
しかし、歌人としての業績は当時から揺るぎないものであったようで万葉集が編まれた時代には既に伝説的な人物であるとされ、歌を志す人々からは歌神・歌聖として仰がれていたと言われています。