日子穂穂手見(ヒコホホデミ)「日本神話の世界」

日子穂穂手見ヒコホホデミ

日子穂穂手見1
神格
稲穂の神、穀霊の神
祀られている神社
若狭彦神社・上社(福井県小浜市竜前)
鹿児島神宮(鹿児島県姶良郡隼人町)
箱根神社(神奈川県足柄下郡箱根町元箱根)
白羽神社(静岡県榛原郡御前崎町)
雨宮大社(岐阜県不破郡垂井町)
菅生石部神社(石川県加賀市)
大虫神社(福井県武生市大虫本町)
知立神社(愛知県知立市)
与賀神社(佐賀県佐賀市)
高千穂神社(宮崎県西臼杵郡高千穂町)
海神神社(長崎県上県郡峰町)
日子穂穂手見2
神徳
農業、漁業、畜産、商売繁盛、厄除け、勝運守護、航海安全、心願成就、縁結び、子宝、安産、畳・敷物業、鉱山業、刃物業など
別称
山幸彦(やまさちひこ)、彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)、天津日高日子穂穂手見命(あまつひこひこほほでみのみこと)、火遠理命(ほおりのみこと)
系譜
ニニギとコノハナサクヤヒメの第三子、ウガヤフキアエズ(神武天皇)の父
詳細
日子穂穂手見(ヒコホホデミ)は日本神話の物語の中では有名な話とされている「海幸彦山幸彦」の主人公で、高天原から地上に降り立ったニニギの三人の子供の末っ子にあたり、稲穂の神として知られています。
また、名前の中の「穂」の字を「火」としている事もあり、ヒコホホデミは幼名を「ホオリ」と言いますが、この名は炎が衰えている様をあらわし、意味としては稲穂が実っている頭を垂れている様を象徴しているとされています。

ヒコホホデミは山幸彦と呼ばれている事から分かる通り、山に関連した神であり、山で獣を狩る事を得意とし、兄である海幸彦は釣り針を用いて海で魚をとる事を得意としていました。
ある時、ヒコホホデミが兄とお互いの狩猟の為の道具を交換して獲物を取る事を提案し、それを実行しますが山幸彦は海幸彦から預かった大事な釣り針を無くしてしまいます。
これを知った海幸彦は激怒し、ヒコホホデミは自らの持ち物であった剣を細かく砕いて1000本の釣り針に加工して許しを請いますが、海幸彦は元の釣り針を戻せと言い、全く謝罪を受け入れる事はありませんでした。
困り果てたヒコホホデミが海辺で一人泣いているとシオツチノオジがあらわれ、海神(わたつみ)の宮に行く事をすすめ、ヒコホホデミは助言に従って竹篭の船に乗って海神の宮に訪れます。
海神の宮で海神の娘であるトヨタマヒメと運命の出会いを果たして二人は結婚し、三年間暮らしたのちに地上に戻る事にしたヒコホホデミは鯛が飲み込んでいた兄の釣り針と海神から塩満玉(しおみつたま)と塩乾玉(しおひるたま)という不思議な力を持つ二つの玉と特殊な呪文を授かって地上に戻ります。

地上に戻った後、地上の支配権をかけて兄である海幸彦と争う事になりますが、ヒコホホデミは海神から授かった呪文の力を使って兄を貧乏にしてしまいます。するとこれに怒りを覚えた海幸彦がさらに攻撃してきますが、今度は塩満玉を使っておぼれさせ、命乞いをしてきた海幸彦を塩乾玉で助けて、ヒコホホデミは地上の支配者となったのでした。

以上のような話がいわゆる「海幸彦山幸彦」の神話で浦島太郎の話のルーツだとも言われているこの物語は、兄との関係に苦しむ若者が海神の宮で美しい娘と結婚し、不思議な力を持って地上の支配者になるという神話の世界における代表的なサクセスストーリーだと言えるでしょう。
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