天太玉(アメノフトダマ)「日本神話の世界」

天太玉アメノフトダマ

天太玉1
神格
占いの神、神事の神、祭具の神、屋根の神、畳屋の神、建具の神
祀られている神社
大麻比古神社(徳島県鳴門市大麻町)
安房神社(千葉県館山市大神宮)
大原神社(千葉県君津市久留里市場)
五社神社(静岡県浜松市)
天津神社(新潟県糸魚川市一の宮)
天太玉2
神徳
災難除け、厄除け、方位除け、縁結び、技術向上、殖産興業、産業繁栄
別称
天太玉神(アメノフトダマノカミ)、布刀玉命、大麻比古神(おおあさひこのかみ)、木匠神
系譜
不明
詳細
天太玉(アメノフトダマ)は人間が神を祀るという行為そのものを神格とした神で、神道で行われる様々な神事を統括し、神事で用いられる全ての神具を管理するという重要な役割を担っています。

アメノフトダマはアマテラスの天岩戸の物語において天岩戸の前に集まった神々の一柱として知られ、アメノフトダマは洞窟の前で占いを行い、続いて枝葉の茂った榊に、大きな鏡、大きな勾玉を連ねた玉飾り、楮(こうぞ)で織った白木綿と麻で織った青木綿を下げた太玉串(立派な玉串という意味)を作りました。
アメノフトダマはその太玉串を持ってアメノコヤネが祝詞を奉じるのと同時に、アマテラスの出現を祈ったのでした。

「日本書紀」の中にアメノフトダマは忌部氏の遠い祖先と記されており、この忌部氏とは宮廷における祭祀の執行を統括する事を専門にした氏族で、宗教儀式に使用する祭具を作る人々の管理も担当していたのではないかと言われています。
こうした忌部氏の役割は天岩戸の物語におけるアメノフトダマの役目と重なるものがあり、忌部氏の役割を象徴したものではないかと考えられています。

アメノフトダマは災難除け、厄除けの神としても広く知られていますが、これはアマテラスが天岩戸から出てきた際に二度とアマテラスが天岩戸に戻る事がないように尻久米縄(注連縄)を洞窟の入り口に張って境界を作ったというエピソードに由来していると言われています。
このアメノフトダマが用いた注連縄(しめなわ)は現在でも神社内の様々な場所に張られており、注連縄の境界の中には不浄なものの立ち入りを禁止する力があるとされています。
また、神社でお祓いを受けたり、家を新築する為の地鎮祭などで「玉串」を捧げる習慣がありますが、これは神の意志に従うという気持ちをあらわし、神とのコミュニケーションを確認するという意味があります。
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